合成香料
合成香料とは、天然香料に含まれる香り成分からその主成分だけを取り出したものや、香料として有効な成分を化学的に合成した香料を指します。合成香料の種類は約5000種ともいわれ、うち化粧品に用いられるのは500〜600種ほどです。
世界的にその効能が認められている品質の高い精油は、製造量も限られており希少で高価なものです。しかも完全な天然物では品質が安定せず、香りも飛びやすくなります。安価に安定した品質を保ち、香りを長続きさせるために、合成香料は多くの場面で用いられています。
合成香料は天然香料からその主成分だけを取り出したものと石油・石炭など原料に合成したものがあり、前者を単離香料、後者を純合成香料と言います。
単離香料
ハッカ油から得たメントールなど、天然香料から香りの主成分だけを取りだしたもの。
純合成香料
石油や石炭などの天然資源や、単離香料を原料に合成されたもの。
合成香料の分類
香り成分は揮発性が高い化合物であり、その化学構造は比較的簡単なものが多いのが特徴です。香料化合物はその化学構造により、いくつかのグループに分けられています。
- 炭化水素類・・・レモンなど柑橘系の香り
- アルコール類・・・松茸、ハッカの香り
- アルデヒド類・・・バニラ、ニッキ、イチゴ、シソの香り
- ケトン類・・・バター、カラメルの香り
- エステル類・・・アップル、バナナ、パイナップル、グレープ、チョコレートの香り
- ラクトン類・・・ミルク、チーズ、ココナッツ、ピーチの香り・・・など。
これら以外にも、フェノール類、エーテル類、含窒素化合物類、アセタール類、シャフ塩基類などが多く使用されます。例えば、エステル類のリアリルナアセテートという香料を用いることで、ベルガモットやラベンダーのような香りを作り出す事ができるのです。
代表的な合成香料
( )内は、その合成香料が模倣する香りや天然の香りを示しています。
現在、合成香料に関する特別な規制がないため、表示も香料としか記載されていません。
調合香料
調合香料とは、天然香料や合成香料を目的に応じてブレンドした香料のことです。
天然香料は約500種類、合成香料は約1,000種を用いて調合され、香水や香料などが作られます。複数の香料を混ぜ合わせることで、単独の香料にはない香りを新しく創り出す事ができるようになります。このように混ぜ合わせる調合作業を行う人々は調香師と呼ばれ、オリジナルの香りを創り出すことを調香といいます。
コスメティック製品や日用品において、天然香料や合成香料が単一で用いられることはほとんどありません。多くが複数の香料で調合された調合香料により香り付けされています。
香水の香料割合
香料を用いるコスメの中で最もその配合量が多いのは、香水でしょう。
パフュームとも呼ばれる香水はヨーロッパを起源とし、現在でも多くの女性に愛されるものです。全体の20~30%が香料を含むものを指し、5〜7時間香りが持続します。
その他にオードトワレやオードパルファムがあり、「オー」が水を意味するように、香水の配合率が低くなります。オードトワレで5~10%、オードパルファムで10~15%となり、香りの持続時間もそれに伴い短くなります。
先にも述べたように、日本人は強い香りをあまり好まず、香りを漂わせるコスメについても、芳香が最も弱いオーデコロンがよく使用されています。これは香料の配合量が2~5%程度です。
香料に関する注意点
香りは鼻から吸収されますが、神経系に直接影響を及ぼします。天然香料によるアレルギー反応を起こす場合もありますが、合成香料による肌トラブルの影響の方が圧倒的に大きく、アレルギーの原因になると言われています。またホルモンバランスに影響を及ぼすという指摘もあります。
一般的に、化粧水には0.05〜0.2%、クリーム・乳液には0.1〜0.5%ほどの香りが付けられています。
香料はスキンケアの成分として肌に直接働きかけるものではなく、また学習して分かるように圧倒的に合成香料や調合香料の割合が多くなりますので、香料が入っていないもの、もしくは天然香料配合のものを選んだ方が安全性は高いと言えるでしょう。
Lesson5のまとめ
- コスメは基剤・有効成分・品質安定剤により成り立っている。
- スキンケアコスメに使用される成分にはどれも重要な役割があるが、それが肌にとってトラブルの原因となることもある。
- 防腐剤、着色料、香料などは、スキンケアに必須の成分ではないため必要かどうかは肌と相談して決定するとよい。
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