Lesson1-4 皮膚構造③真皮・皮下組織

表皮の下にある分厚い層が真皮です。その厚みは表皮の数倍〜数十倍ほどあり、肌のハリや柔らかさ、弾力に関連しています。

真皮は、乳頭層にゅうとうそう乳頭下層にゅうとうかそう網状層もうじょうそうの3つに区別されていますが、こちらは表皮の4層のようにはっきりとした境目があるわけではありません。

 Designua/Shutterstock.com Adopted.

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真皮の構造

真皮層には1.8mmという薄さの中に乳頭層と網状層があります。皮脂腺や汗腺も位置する真皮層は、肌の土台・骨組みとなる部分であり、肌のハリや弾力をキープする働きがあります。

乳頭層(にゅうとうそう)

表皮に近い乳頭層は、真皮の中でも水分量が多い部分です。神経や毛細血管、リンパ管が通り、表皮への栄養補給を行っています。乳頭層にもコラーゲンやエラスチンがあります。

乳頭下層(にゅうとうかそう)

乳頭層のすぐ下の部分で、網状層までの層を指します。水分量が多く皮膚のハリを作り出しています。

網状層(もうじょうそう)

真皮層の大半を占めるのがこの網状層です。線維芽細胞せんいがさいぼうにより、皮膚の重要な構成要素である「線維」とよばれるたんぱく質を作り出しています。この線維は大部分がコラーゲンとエラスチンから構成されており、皮膚に弾力を与えると共に、外界からの刺激に対して抵抗し、私たちの身体を守る役割を担っています。さらに線維の間にはムコ多糖類の一種であるヒアルロン酸が水分を大量に保持した状態で存在します。

 

線維芽細胞(せんいがさいぼう)

コラーゲン、エラスチン、基質を生産しているのが線維芽細胞です。

線維芽細胞の働きは加齢とともに低下するため、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸が不足していくと、次第に真皮の水分保持能力も衰え、肌のしなやかさやハリ・弾力が失われていきます。

  • コラーゲン・・・コラーゲンは、家でいう骨組み部分に相当します。真皮から水分を除く70%を占める重要な成分です。
  • エラスチン・・・コラーゲンとコラーゲンを繋ぐ、接着剤に相当します。コラーゲン同様肌の弾力やハリを支えています。
  • 基質・・・線維や細胞との間を満たしているゼリー状の成分です。その主成分はムコ多糖類と糖タンパクなどにより構成されています。コラーゲン、エラスチンと共に肌の土台部分を支える役割を果たします。
    基質の成分にはそれぞれ重要な成分があります。ヒアルロン酸は水分を保持し、デルマタン硫酸は線維を支え他の基質を保持し、コンドロイチン硫酸は細胞の働きを円滑にし、糖タンパクは水分保持やコラーゲン・エラスチンと結びつく事で線維を安定させ、皮膚の柔軟性を作り出しています。

 

真皮のダメージ

肌の大部分を構成しており水分を保持しているのが真皮です。肌の美しさや若々しさを決める上で大きな要素を持っています。

真皮がダメージを受けるのは、紫外線による影響だけでなく、糖質の過剰摂取による糖化や体内外の活性酸素などの影響を受け、コラーゲンやエラスチンは弱体化します。特にシミ・シワ・たるみという三大老化現象は真皮のダメージによるものです。

これを予防するには、スキンケアによるエイジングケアだけでなく、紫外線対策やたんぱく質の摂取と同時に、糖質制限、活性酸素除去が必要になってきます。このような対策については、後ほど詳しく学習していきます。

皮下組織

皮下組織は真皮の下に位置するもので、皮膚と筋肉や骨とを繋いでいる組織です。脂肪を多く含んでいるため皮下脂肪組織とも呼ばれ、その下にある筋肉や骨を保護する働きもします。一般的に男性よりも女性に多く、女性らしい曲線美や丸みのあるフォルムは、この皮下組織によって作られています。真皮との境界線ははっきりしていません。

脂肪細胞には、筋肉や内蔵をクッションのように保護する役割があります。また保温作用やカロリーを皮下脂肪として蓄えておく貯蔵作用もあります。

皮下組織には血管があり、そこから毛細血管に枝分かれしていきます。血液は体内に入ってきた栄養を取り込み肌に栄養と酸素を与え、老廃物を回収する役割を果たします。血行が良くないと肌の栄養は不足し、ターンオーバーのサイクルの乱れや肌のくすみにも繋がります。

運搬機能を果たす血液の流れを悪くしないよう日頃からマッサージを行うメリットはここにあります。また血行促進効果のあるビタミンEを意識的に摂取することも効果的です。