Lesson5-2 基本のコスメ成分と基剤

コスメには多くの原料が使われています。その原料を大きく分けると、植物・動物・石油が主な成分となります。植物は肌に優しく、石油は肌に悪いといったイメージがありますが、実は一概にそうとは言い切れません。

それぞれの特徴を学習し、肌に応じたコスメ選びができるようにしましょう。

 

スキンケアコスメの構成

コスメによって必要な成分の配合量は変化します。一つのコスメは主に、ベースとなる基剤きざいと、肌に効果があると認められた有効成分認可されてはいないが有用な成分とされるものコスメの品質を維持するための成分によって構成されています。

  • 基剤(基本成分)・・・そのコスメの骨格を作る成分のことです。水、水溶性成分や油性成分、界面活性剤などが相当します。
  • 有効成分・・・目的別に効果を発揮する成分のことです。(例 ニキビなら抗炎症成分、美白なら美白有効成分など)
  • 品質保持を目的とした成分・・・製品の安全、品質を保つための成分のことです。防腐剤や酸化防止剤などが相当します。

 

基剤となる成分について

基剤とは、コスメの主となる骨格を作る成分であり、クリームタイプなのかジェルタイプかといった形や状態を決定する重要な要素です。基材、主原料などと呼ばれることもあります。

基剤の分類

  • 水性基剤(ロ-ション、乳液):精製水、エチルアルコールなど
  • 油性基剤(口紅、クリーム):油脂、ロウ、脂肪酸、エステルなど
  • 界面活性剤(乳化剤):ステアリン酸、レシチンなど
  • 粉体基剤:タルク、カオリン
  • 高分子基剤:合成ポリマー、天然高分子

水性基剤・水溶性成分

水溶性の成分で、これを基剤としたものには、化粧水やローション、乳液などがあります。単独使用ではなく、数種類の水溶性成分や油性成分との組み合わせで効果を発揮します。

【効果・特徴】

  • 水分を逃がさないようにするための保湿成分
  • 肌を引き締める収れん成分
  • 水に溶ける防腐効果

【代表的な液状の水溶性成分】

  • エタノール:肌の引き締め効果
  • BG:保湿・防腐効果(防腐剤の代わりにも使われる)
  • グリセリン:保湿・感触機能

【代表的な粉状の水溶性成分】

(※基剤ではなく主に品質保持として配合される)

  • カルボマー:粘度をを高める、とろみを出す、安定化(乳化したものを分離させない)
  • ポリアクリル酸Na:吸湿、膨潤効果
  • カラギーナン:粘度を高める、とろみを出す、安定化(乳化したものを分離させない)

 

油性基剤・油性成分

油脂に溶ける成分で、口紅やクリームなどを作る際に用いられます。

【効果・特徴】

  • 角質層の水分蒸発を防止する効果
  • 水分量を留めるためにふたをし、一定に保つ効果
  • 肌を柔らかくする柔軟効果

【液状の油性成分】

  • 機能・効果:クレンジングに使われる・角層の水分量を保つために使われる。
  • 鉱物:トリメチルシロキシケイ酸(シリコン油)、ジメチコン(シリコン油)、ミネラルオイル(石油由来)
  • 天然:スクワラン(サメ・植物由来)、ホホバ油(ホホバ実・種子由来)

【半固形状の油性成分】

  • 機能・効果:浸透性を高め、保湿効果をもたらす。
  • 鉱物:ワセリン(石油由来)
  • 天然:シア脂(シア果実由来)、カカオ脂(カカオ種子由来)

【固形状の油性成分】

  • 機能・効果:多く配合することでバリア機能としての保護膜を作る。
  • 鉱物:パラフィン(石油由来)、マイクロクリスタリンワックス(石油由来)
  • 天然:ミツロウ(ミツバチ巣由来)、キャンデリラロウ(植物由来)

 

界面活性剤

界面とは異なる性質の境界線のことで、その界面の性質を変える物質を界面活性剤と言います。分子の形はマッチ棒のようになっており、マッチ棒の棒部分である疎水基そすいき(油分)と親水基しんすいき(水分)になじみやすい要素を併せ持ちます。クレンジングや洗顔料の乳化剤として用いられます。

【効果・特徴】

  • 洗浄効果・・・汚れを浮かして落とす。
  • 乳化効果・・・水分と油分を混ぜコスメを作る。※油分と水分が細かい粒子になり分散している、完全に溶解していない。
  • 可溶化・・・コスメに有効成分を溶かし込む。※水に溶けにくい物質が溶けるようになる。
  • 分散効果・・・色素などの粉を分散させる。
  • 発砲・気泡効果・・・泡立ちを良くする。
  • 殺菌効果
Geo-grafika/Shutterstock.com

Geo-grafika/Shutterstock.com

この他にも粉体基剤高分子基剤などがあります。