Lesson5-3 界面活性剤

界面活性剤はクレンジングからクリームまで幅広く配合されます。その効果は、洗浄から乳化、殺菌作用など幅広くなど、界面活性剤の種類も数多く存在します。

界面活性剤の役割

界面活性剤の役割の大きな部分を占めるのが、乳化作用です。

水と油はそのままでは混ざり合わない為、主に油分で構成されているメイクアップコスメを水できれいに取り除くことはできません。そこに界面活性剤を仲介させて乳化させると、水と油が混じり合い洗い流す事が出来るようになります。

水と油が乳化したかどうかは、白濁により認識する事が出来ます。

透明の液体同士であっても、乳化により液体はクリーム色・白色に変化します。油分だけではべたつきを感じますが、乳化することでさっぱりとした使用感となり、乳化技術の発展によりコスメは格段に使用感が向上しました。

界面活性剤の疑問

①界面活性剤は肌にとって必要か?

界面活性剤は前章でも学習したように実に多くの効果・作用を持ちます。界面活性剤がなければクレンジングに手間や時間がかかり、泡洗顔もできなくなります。さらに化粧水には水溶性の成分しか配合できなくなり、乳液やクリームは分離してしまいます。

界面活性剤は、今や生活に欠かすことのできない成分の1つとも言えます。メイクアップコスメを使用する以上、肌のためにもクレンジングは必須であり、しっかり洗浄するための界面活性剤は必要とされていると言えます。

②界面活性剤は肌に悪いか?

界面活性剤には非常に多くの種類があります。全てではありませんが刺激になる可能性がある成分も存在するため、「界面活性剤は肌に悪い」という意見もあります。

しかし肌に負担が少ない界面活性剤も存在するので、一概に決めつけて恐れる必要はありませんが、それでもできるだけ肌に優しいものを使いたいと感じるでしょう。その場合は、刺激になりやすい「合成界面活性剤・石油系合成界面活性剤」が含まれたものは避けるようにします。

③注意すべきスキンケアコスメは?

界面活性剤が洗浄成分として配合されているものは、含有量も多くなり肌への負担は大きくなります。クレンジングや洗顔料を選ぶ際は「合成界面活性剤・石油系合成界面活性剤」の入っていないものを選ぶだけでも肌への刺激を減らすことができます。

また、化粧水や乳液などにも使用されている場合もありますが、この場合乳化作用などを目的として配合されているため、含まれている量は微量となります。肌が非常に弱い場合などを除いて、過剰に怖がる必要はないでしょう。

④界面活性剤の問題点

界面活性剤は実に多くの種類が存在します。また、表示されている成分もカタカナや英数字を含むため覚えづらく見分けがつきません。そのため、どれが肌に刺激になる可能性があるのかすぐにはわからないという問題があります。

「植物性・天然由来」と謳っているものでも、石油系の成分が含まれている場合があります。これは石油も元をたどれば天然鉱物だという認識に基づいているものです。現在、界面活性剤における明確な基準がないため、知識が不十分な方が表示を見て判断するのは難しいと言えます。

界面活性剤の種類

陰イオン界面活性剤(アニオン型)

洗顔料や石鹸、シャンプーなどに使われる。

  • 乳化・分散・可溶化のために用いられる。
  • 水に溶けると親水基の部分が陰イオンになる。
  • 皮膚への刺激はやや弱く、成分名の最後に「〜石鹸」、「〜塩」とつく。

例 アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩

陽イオン界面活性剤(カチオン型)

リンスやコンディショナーなどに使われる。

  • 帯電防止や殺菌作用として使用される。
  • 水に溶けると親水基部分が陽イオンになる。
  • 皮膚への刺激度はやや強く、成分名の最後に「〜アンモニウム」とつく。

例 塩化ベンザルコニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム

両面界面活性剤 (アンホ型)

シャンプーや洗顔料などに使われる

  • 洗浄(やや弱い)・殺菌・乳化補助のために使用される。
  • 水に溶けると、周囲のpHにより陽イオン・陰イオンどちらにもなり変化した方の性質を持つ。
  • 皮膚への刺激はほとんどなく、成分名の最後に「〜べタイン」とつく。

例 コカミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン

非イオン界面活性剤(ノニオン型)

多くの化粧品に使われる。

  • 乳化・可溶化・洗浄(やや弱い)・を目的として用いられる。
  • 水に溶けたとき、イオン化しない親水基をもつ。他の界面活性剤と組み合わせやすい。
  • 皮膚への刺激はほとんどなく、成分名の最後に「〜グリセリル」、「〜水添ヒマシ油」「〜レス」、「〜セス」、「PEG」とつく場合が多い。

ステアレス-20
ステアリン酸グリセリル
ポリソルベート20
PEG-10水添ヒマシ油
ラウリン酸ソルビタン

石油系合成界面活性剤

  • ラウリル硫酸ナトリウム
  • ラウレス硫酸ナトリウム
  • ラウリル硫酸アンモニウム
  • ラウレス硫酸アンモニウム
  • ラウリルスルホン酸ナトリウム
  • キシレンスルホン酸ナトリウム
  • スルホン酸ナトリウム
  • パレス-3硫酸ナトリウム
  • パレス-3硫酸アンモニウム

<見分け方>
「〜スルホン酸」、「〜硫酸」、「アンモニウム」と名前に含まれている場合。

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注意点

  • 「ラウリル」と名がつくものは、ラウリル酸という脂肪酸から生成されます。ラウリル酸は石油と植物のヤシ油からとれます。石油よりも植物の方が安価でつくれるため、その多くは植物由来になっています。
  • 石油系合成界面活性剤はイオン性界面活性剤(陽イオン、陰イオン)で、電気の膜を通過し肌へ浸透するため、肌のバリア機能を壊し刺激が強くなります。

※合成界面活性剤などは特に、人により肌の刺激ともなりえます。気になるようであれば、界面活性剤フリーと表示されているものを使用しましょう。