有効成分について
有効成分は、トラブルの解消やなりたい肌に近づけるための成分です。主に、保湿・美白・ニキビ・エイジングという分類に分けることができます。有効成分配合量が多ければ美容液やクリームになります。
保湿成分
肌の水分を逃がさず、みずみずしく潤った状態を保つために必要なのが保湿成分です。保湿成分は、角質層が持つ①水分を抱え込む、②水分を挟み込む、③水分を掴むなどの働きと同様の働きをする成分が用いられます。
肌が本来持つどの保湿能力を補助する保湿成分なのか、またその保水能力の差によって、その効果は変わってきます。「保水能力」とは取り込んだ水分を保持しておく力ですが、これは②の「水分を挟み込む」成分が最も高く、③の「水分を掴む成分」はその効果が弱くなります。
<潤いをキープできる保水能力がある成分>
保湿剤のタイプ分けとともにしっかり覚えておきましょう。
①水分を抱え込む
皮膚の真皮層にもともと存在する成分が主に使用されますが、スキンケアコスメとして塗布した場合には真皮層まで吸収されることはなく、角質層にて保湿機能を果たします。
- コラーゲン
- ヒアルロン酸
- エラスチン
- 尿素
- アミノ酸
- ヘパリン類似物質・・・など
※コラーゲンやヒアルロン酸などは、真皮層を構成する成分ですが、肌に塗った場合保湿成分として角質層で保湿効果を発揮します。
②水分を挟み込む
水分をサンドイッチのように挟み込むことで高いキープ力を持ち、水分保持力も高い成分です。
- セラミド(特にヒト型セラミド1、2、3)
- スフィンゴ脂質・水素添加大豆レシチン
- ステアリン酸コレステロール・・・など
③水分を掴む
水分を吸収する性質があります。しかし湿度の変化に弱く、冬など湿度が低いと保湿力が低下します。
- NMF
- PG
- グリセリン
- 1.3BG(PG〜1.3BGは多価アルコール)・・・など
※保湿効果は上記よりも劣りますが、使用感がさらっとしていて化粧水によく使用されます。
美白成分
美白成分には、シミを予防するタイプと発生したシミを薄くするための漂白タイプに分かれます。シミの多くの原因は紫外線によるものです。
シミが発生するプロセス
- 紫外線を浴びると、エンドリセンなどの情報伝達物質が分泌されメラニンを作るよう命令される。(※①)
- 命令を受けた表皮の下部分にある基底層のメラノサイトから、メラニン色素が生成される。
- アミノ酸の一つであるチロシンが作られる。
- チロシナーゼという酸化酵素によりメラニンへと変わっていく。(※②)
- 本来ならターンオーバーにより排出されるが、メラニン色素の過剰生成が行われ続ける場合やターンオーバーの遅れ、摩擦などが原因で排出できず着色した細胞が蓄積されシミとなってしまう。(※③)
美白成分の働き
(※)は上記の「しみ発生プロセス」のどの部分に有効かを表します。
①メラニン生成の指令をとめる(※①)
- カモミラET(カミツレエキス):ハーブに含まれる成分で抗炎症作用を併せ持つ。
- m-トラネキサム酸:抗炎症作用を併せ持つ。
②チロシナーゼの働きを抑える(※②)
- アルブチン:コケモモから抽出される成分。低刺激でシミ予防に効果的。
- コウジ酸:麹菌由来の成分。漂白効果も期待できる。
- エラグ酸:イチゴ由来の成分。ポリフェノールの一種。漂白効果も期待できる。
- ルシノール:シベリアのもみの木に含まれる成分を改良してつくられた成分。アルブチンやコウジ酸よりも浸透力に優れている。
- ビタミンC誘導体:ビタミンCを吸収しやすい形に変えたもの。予防・漂白効果が期待できる。
- プラセンタエキス:豚や牛など哺乳類の胎盤から抽出される成分。予防効果に適している。アミノ酸やミネラルを豊富に含み、ターンオーバーを促進させる。
- 4MSK:シミの予防だけでなく、ターンオーバーの乱れに作用し蓄積したメラニンを排出させる。
③チロシナーゼの成熟を阻害、分解する(※②)
- マグノリグナン:ホオノキの樹皮に含まれるポリフェノールの一種。
- リノール酸S:サフラワー油などから抽出されるリノール酸の美白効果を高めた成分。ターンオーバー促進効果もある。チロシナーゼそのものを減らす効果がある。
④メラニン色素の還元(※③)
- ビタミンC誘導体:ビタミンCを吸収しやすい形に変えたもの。予防・漂白効果が期待できる。
⑤メラニン色素の排出を促す(※③)
- エナジーシグナルAMP:天然酵母由来成分。エネルギー代謝を高めターンオーバーを促すことでメラニンの蓄積を防ぐ。
- ハイドロキノン:化粧品に含まれるものの中で、美白漂白効果は最も高いとされている。
ニキビ対策に有用な成分
ニキビ対策として用いるために有効な成分は、①抗炎症作用を持つ成分、②殺菌作用がある成分、③収れん作用がある成分、④美白成分などがあります。
またここでは漢方によるケアも確認してみましょう。
①抗炎症作用:ニキビの炎症を抑える
- グリチルリチン酸2K:マメ科植物甘草由来成分。強力な消炎効果。赤みも抑える。
- アラントイン:尿素から合成、またはコンフリーなどの植物由来成分。消炎効果、細胞活性化作用、赤みを抑える効果がある。
②殺菌作用:アクネ菌を殺菌する
- イソプロピルメチルフェノール:合成成分。アクネ菌を殺菌する。
- イオウ:皮脂吸収作用、殺菌作用、角層軟化作用がある。
- レゾルシン:合成成分。殺菌作用、角層軟化作用、角層除去効果があり、毛穴の詰まりに効果的。
- サリチル酸:合成成分。殺菌作用、角層軟化作用がある。
③収れん作用:肌を引き締める
- クエン酸:オレンジやレモンなどの柑橘類の果実に多く含まれている有機酸。角質を除去する効果があり、収れん作用で毛穴を引き締め、細胞活性化の作用も持つ。
- ハマメリスエキス:ハマメリスの葉から抽出した成分。消炎作用、収れん作用があります。
- イタドリ根エキス:イタドリの根茎から抽出された成分。有機酸、タンニン類、糖類を含有する。収れん作用、保湿作用がある。
④美白作用:ニキビ跡の赤みや色素沈着に有効
※成分は美白有効成分を参照。
漢方薬によるケア
漢方薬は体内のバランスをとり、自然治癒力を高めるためにあります。
症状としては同じに見えるニキビでも、人により原因が異なる事も多々あります。下記はニキビに有用な漢方を体質別に紹介しているので、体質に合わせた漢方薬を選びましょう。
市販のもので効果が得られない場合は、病院や漢方薬局で処方してもらうと良いでしょう。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):色白・冷え・むくみ体質に。
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):脂性肌・赤ら顔・小さなニキビが多くできる人に。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):頭痛・肩こり・便秘・イライラしがちな人に。
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):若い人・額など皮脂の多い部分に赤ニキビがたくさんできる人に。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせやすい・赤ら顔・PMSの症状が重い人に。
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):背中やおしりににきびができる人に。
エイジング対策に有用な成分
肌の衰えには、角質層と真皮層のケア両方が重要です。年齢とともに角質層が厚みを増し、水分や油分が減少します。さらに、真皮層のコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの量も減少します。
上記の保湿成分によって保湿力を高める、コラーゲンの量を増やす、老化の原因となる活性酸素を除去する成分などを積極的に活用していきます。
①コラーゲンの量を増やす
- レチノール:ビタミンAの一種。真皮層の線維芽細胞に働きかける。使い続けることで肌が安定してくる。
- ビタミンC誘導体:コラーゲンの生成をサポートする。美白作用も兼ねる。
②活性酸素の除去
- コエンザイムQ10:ビタミン様物質。抗酸化力が優れている。代謝を活性化させターンオーバーを促す。血行促進作用もある。
- ビタミンC:自らが酸化して細胞を守る。
- ビタミンE:自らが酸化して細胞を守る。