現代のナチュラル、オーガニック、エコ、という言葉の流行と共に、コスメにもその流行が広がっています。オーガニックコスメ、天然化粧品、自然派化粧品、無添加化粧品とも呼ばれるそれらのコスメは、肌にも環境にもよいイメージがあり人気が高まっている注目の製品でもあります。
無添加コスメと自然派コスメの違い
無添加コスメ
無添加コスメとは、旧厚生省が指定した、使う人の体質によってまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある表示指定成分を使用していないコスメを指します。「無添加」という表示があると、化学的な添加物が一切入っていないような印象を持ちますが、パラベンなどの102種類の指定成分のみ無添加という意味となります。
また、無添加の表示に明確な基準がないため、各メーカーにより、香料が配合されていないものを無添加と呼んだり、防腐剤が配合されていないものを無添加と呼ぶなど、パッケージの表示だけでは判断しにくい部分もあります。
- 旧表示指定成分の102種類が無添加のコスメが「無添加コスメ」とされる。
- 表示指定成分以外の添加物が配合されていても、無添加の表示が可能となる。
- 表示指定成分以外の添加物でも、石油由来の成分や、肌トラブルが報告されている防腐剤や香料などもあるため、無添加コスメが全て安全・安心とは言い切れない。
自然派コスメ
植物エキスを抽出した成分を多く使用した化粧品が「自然派コスメ」「オーガニックコスメ」と言われます。自然由来の成分を中心に、化学成分を少量または不使用でつくられた化粧品です。「オーガニック」の本来の意味は「有機栽培の農作物」を指し、オーガニックコスメで使用される原料も、有機栽培で育てられた植物から抽出されています。
しかしながら、この自然派コスメに関しても、国内には明確な基準がないために、各メーカーの方針により製品の質が大きく異なります。植物由来の成分を少量でも使用することで自然派コスメと表示したり、オーガニック成分を1つでも配合することでオーガニックコスメと呼んでいるものなど、様々なのが現実です。
自然派コスメなら安全?
「天然成分使用」という表示は、肌にとって優しいイメージがあります。
原料からこだわっている自然派コスメメーカーの中には、肌本来の力を引き出す、回復させるという目的の元に、肌に刺激となりうる有害化学物質を極力排除し、品質の高い天然素材をほぼ100%に近い割合で配合して作られているものや、海外の厳しい基準に沿って製造している所もあります。
天然成分は良いイメージがありますが、天然だからといって全ての人に安全とは言い切れない点は注意する必要があります。植物は多くの有効成分を有していますが、同時に植物自身の身を守る為に私たちにとっては毒となる成分も保持しています。それが私たちにとって肌トラブルやアレルギーの原因となることもあるのです。
また保存に関しても、化学合成されたパラベンなどの防腐剤は使用していなくても、天然由来の防腐剤が配合されている製品があり、これがトラブルの要因となる可能性も十分にあります。また、全く防腐剤の要素が含まれていない製品は、やはり保存が効かず使用期限が短かったり、冷蔵保存が必要、などのデメリットもあります。
オーガニックだから、自然派という表示があるから、と過信せず、他のコスメ製品同様成分を確認し、自分の肌質にあったものを使い分けることが大切です。
世界のオーガニックコスメ
日本と比較して、オーガニックやナチュラル志向の歴史が長いヨーロッパ諸国では、オーガニックに対する認定制度も整備されており、コスメに関しても信頼のおける認定団体が明確な基準をもち、その基準をクリアした製品には認定マークが与えられます。
主な認定団体
ECOCERT
欧州中心に世界50か国以上で認証を行なっている、世界最大規模の有機認定機関です。
COSMEBIO
フランスの認定機関です。
信頼性が高く、原料供給元や製造メーカー、コスメ研究所、流通業界など数百社が加盟する協会です。
USDA
米国のオーガニック認定基準で、日本でいうと有機JASに相当する基準となります。
コスメの基準ではなくオーガニック食品の基準ですが、化粧品の有機認定を受ける際にも現状こちらのマークが用いられています。米国は日本同様、ヨーロッパと比較するとオーガニックコスメの認定システムが未整備ですが、食品の基準なので認定を受けた商品の安全性は高いと言えるでしょう。
→USDA
ACO
オーストラリア最大のオーガニック認証機関です。Australia Certified Organicの略称です。
農作物や食品の認証も行なっており、審査基準が厳しいことでも有名です。
→ACO
BDIH
十年以上前にドイツで策定された、ナチュラル化粧品の指針です。認定されたものには、認定マークが付きます。
NaTrue
BDIHのガイドラインを基とし、BDIHで網羅できていなかったオーガニック基準を追加して定められた指針です。ブリマヴェラほか、ドイツの主要メーカー6社が採用している信頼のおけるものです。
代表的な天然成分
オリーブオイル、椿オイル、ヒマシオイル、ココナッツオイル、ホホバオイル、アルガンオイル、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、アロエエキス、イタドリエキス、キャロットエキス、パパインエキス、カモミラエキス、トコフェロール、グレープフルーツ種子エキス、ローズマリーエキス・・・など