Lesson8-1 肌断食

美容法のムーブメント

服にも流行があるように、スキンケアやコスメアイテムに関しても流行やムーブメントがあり、年々進化遂げています。さらにLesson7でも学習したように、最新の成分が注目を集めています。
しかし、新しいものを追い求めすぎたり、肌に有効な成分を過剰に与え続けると、肌自体が持つ力が弱まり結果的に私たちにとってマイナスとなることもあります。

Lesson8では、最新の美容成分を追い求める形の美容法ではなく、肌本来の力を取り戻すためのケアを学習して行きましょう。

今までのケアとは全く異なる美容法ですが、スキンケアスペシャリストとして、何かひとつの方法に偏る事無く、様々な知識を総合的に修得することが大切です。それによりあらゆるトラブルや肌タイプの人にも対応できる専門家としての知識が身に付きます。

 

肌断食とは

近年「ファスティング」が美容・健康法として流行していますが、食を断つファスティング同様、肌断食とは肌のお手入れをあえて行わないスキンケア方法です。

ファスティングを行うことで消化器官を休ませて、体が本来持つ治癒力やデトックス力を回復するのと同じように、ケアを与えずに肌を休めて肌本来の力を引き出すことを目的としています。

これは人の体に元々備わっている「環境の変化に順応する力」や「肌が本来持っている力」を引き出す方法であり、この私たちが本来持っている力は「スキンホメオスタシス」とも呼ばれています。

様々なモノが溢れる現代では、コスメ好き、美容マニアほど肌がボロボロになる、というケースも珍しくありません。これは過剰なケアやメイクにより、肌本来の力が弱まっていることを表しています。

通常、肌の乾燥を感じたら潤いを与えようとしますが、肌断食ではそれを行わず、あえて厳しい環境に置くことで、肌自体が回復力を発揮し乾燥に負けない肌に変化・順応したり、傷ができたらそれを自らの自然治癒力で治そうとする力を引き出します。

LuckyImages/Shutterstock.com

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肌断食の実践方法

  1. 肌断食を行う最初の洗顔は無添加(純石鹸)または低刺激タイプの石鹸で行う。その後は基本的には使用しません。
  2. 洗顔後は肌がつっぱりますが、そのままにしておきましょう。どうしても乾燥が気になる場合はワセリンなど低刺激でシンプルな保湿のみ行います。
  3. 外出する場合は、基本的には日焼け止め(UVケアコスメ)は塗らずに日傘・帽子・サングラス・ストールなどで紫外線対策を行います。日差しが強い場合は、肌の負担にならない弱めの日焼け止め(UVケアコスメ)を塗布します。
  4. 日焼け止め(UVケアコスメ)を使用した場合は、無添加(純石鹸)または低刺激タイプの石鹸で洗顔を行います。

 

肌断食のメリットデメリット

メリット

  • 元々持っている肌の力を引き出せる。(敏感肌と思っているだけで、実は健康な肌の場合も多い)
  • 肌荒れが改善し、キメが整う。
  • 毛穴が引き締まる。
  • 肌トラブルが発生しにくくなる。
  • 自分の肌タイプがわかる。
  • 与えすぎる事により肌の弱体化を食い止めることができる。
  • 肌断食終了後の回復ではアイテムの効果がぐっと上がる。
  • スキンケアにかける時間とお金がスリムアップする。

デメリット

  • 現在のケアにより、肌断食の効果を感じるには時間がかかり、開始直後は肌荒れが酷くなる。
  • 肌のターンオーバーにもよるので最低でも1ヶ月〜くらいの期間を考慮する必要があり、即効性は期待できない。
  • 肌断食を行っている最中には、薄メイクや日焼け止め効果の低いUVケアコスメのみしか使用できないため、仕事や外出があると挑戦しづらい。
  • 肌が慣れるまではつっぱり感を感じたり、肌の不要なものを排出しようとする好転反応により肌が荒れてしまうこともある。
  • 生まれつき、肌の弱い人には向いていない。

 

肌断食をする上での注意点

①現在の肌力低下により効果を得られるまでに時間がかかる

下記チェックポイントに当てはまる項目が多い場合には、肌断食の効果を感じるには時間がかかり、開始直後は肌荒れが酷くなる可能性があります。まずは、チェックしてみましょう。多いほど、肌の力が低下している可能性が高くなります。

□毎日W洗顔を行っている
□入念なスキンケアを毎日欠かさず行っている
□ピーリングやスクラブを使用している
□崩れにくいファンデーションや口紅など、メイクは濃い傾向にある

②好転反応により一時的に肌あれを起こす

完全な肌断食を行う場合は、石鹸の使用やメイク、日焼け止め(UVケアコスメ)も塗りません。できるだけ肌に何も塗らず、負担を減らし、肌の回復を待つというものです。始めたばかりの頃は、肌のつっぱり感や角質の目立ち、カサカサ感や角栓が出やすくなりますが、これは肌断食による効果で、要らないものを排出しようとしている証です。これは良い方向に向かう反応であり、好転反応と言われます。

③肌断食から回復までには時間がかかり、時間の余裕が必要となる

効果が実感できるまでの期間は人それぞれ違いますが、本格的な肌断食の場合、1ヶ月ほど肌荒れが続くこともあり、回復には半年近くが必要であることもあります。長期間行うのが難しい場合は、夜だけや週末だけの短期間の肌断食を行うだけでも良いでしょう。その場合、普段のメイクは薄めにして肌の負担を減らしましょう。

 

肌断食をすれば、スキンケアにかかる手間が減り肌のお手入れも楽になります。現在酷く肌トラブルに悩まされている場合は、長期戦を覚悟し試してみると改善するかもしれません。その際には、より効果を高めるに、肌断食と共に食事や生活習慣を整えることも大切です。

Syda Productions/Shutterstock.com

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