Lesson8-3 オイル美容法

Yeko Photo Studio/Shutterstock.com

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オイル美容とは

オイル美容は、植物や動物から抽出した天然オイルを、様々な方法でスキンケアに取り入れる美容法です。上質なオイルを使うことで細胞間脂質の隙間を埋め、水分の蒸発を防ぎ保湿効果を高めることを目的としています。特にオイルをベースにした美容液は「美容オイル」と呼ばれることもあります。

「美容を極めると最後はオイルに行き着く」とさえ言われるオイルは、世界的な化粧品メーカーでも注目されており、日夜研究が進んでいます。オイル美容の注目により、これまでのベタつきを感じさせない使い心地の良い優れたオイルも多く登場しており、美容液代わりやマッサージの時など幅広く使用できます。

オイル美容で用いられる代表的なものは、他の成分とブレンドされていない100%天然のピュアオイルです。アロマテラピーの世界では、このような植物性ピュアオイルをマッサージやトリートメントに用いていますが、これを「キャリアオイル」と呼ぶ事もあります。

また、数種類のピュアオイルをブレンドしたブレンドオイルや、さまざまな美容成分をプラスしたクレンジング、美容液、乳液、クリームなどのオイル系スキンケア用品も、広い意味でのオイル美容となります。オイル美容が初めての方には、求める効果により選びやすいブレンドオイルや、天然オイルの長所を活かしたオイル系スキンケアコスメから取り入れるのがお勧めです。

 

オイル美容の効果

高い浸透力

オイルは成分構造的に肌と似ているため、高い浸透力を誇ります。細胞間脂質は主に油溶性成分で構成されており、オイルがよくなじみます。浸透したオイルは皮膚内の水分と結びつき保湿効果を高める働きが期待でき、特に分子構造の小さい精油は、真皮の毛細血管から取り込まれることで、全身へと働きかける効果もあります。

肌のバリア機能の向上

皮膚のバリア機能は細胞間脂質が担っていますが、オイルにより脂肪密度が高まることで保湿能力が高まります。弾力のある柔らかい肌になることで、肌のバリア機能が格段に向上します。オイルで一時的に保湿膜のふたをするのではなく、細胞内に入り込むことで肌機能そのものが高まります。

インナードライ肌の改善

オイルを適切に補うことにより、過剰な皮脂分泌を抑え、皮脂によるベタつき・テカリを減らすことができます。肌の内側は乾いているのに表面はべたつくインナードライ肌の改善にも役立ちます。

肌の栄養補給

抗酸化作用やオイルの持つ栄養分により、肌にしっかりと栄養を送り込む事が出来ます。
オイルには、それ自体に必須脂肪酸やビタミンA/E、ミネラル、またアンチエイジング効果が注目されているファイトケミカルなど豊富な栄養素を含んでいます。その他にも豊富にある油溶性の栄養成分は、オイルを含んだ美容液などにより効率的に肌に届けることができるようになります。

肌の柔軟効果により、毛穴の黒ずみ・開きを抑える

オイルには毛孔の汚れを浮き上がらせ、角質を柔らかくする働きがあります。これにより毛穴の黒ずみや開きを抑え、毛穴を清潔に保つことができ、毛穴トラブルやニキビなどの予防にも繋がります。

乾燥・エイジング対策に効果的

必須脂肪酸の1つであるγ-リノレン酸は、アレルギー炎症の鎮静作用や細胞の新陳代謝を活発にさせ免疫力を高める作用などがあります。これにより肌のひび割れや乾燥を防ぐ効果も期待できます。

 

美容オイルの使用法

クレンジングに用いる

オイルクレンジングで用いる量と同量かそれより少し多いくらいの量を手に取り、擦らないようにそっとメイクとなじませていきます。リップやポイントメイクもオイルで落とすことができるので、丁寧に馴染ませていきましょう。メイクが馴染んだら、ティッシュで優しくオフするか、蒸しタオルでそっと拭き取って行きます。その後に洗顔料で洗顔を行います。
クレンジングオイルと異なり、乳化剤が配合されていないため、そのまま水で洗い流すことはできません。

クレンジングに適したオイル・・・ホホバ、オリーブ、グレープシード、ヘンプ、スィートアーモンドオイル、ローズオイルなど。

クリーム・美容液代わりに用いる

洗顔し化粧水をつけた後、1、2滴手に取り顔全体に馴染ませます。化粧水で補った水分にふたをするイメージです。今までクリームを使用していた場合には物足りなさを感じる場合もありますが、そのような時には肌残りがしっかりとしたオイルや、美容成分が豊富なローズヒップオイルなどを用いるのがお勧めです。

クリーム・美容液代わりに適したオイル・・・ホホバ、ヘンプ、スィートアーモンド、アルガン、マカダミアナッツオイル、スクワランなどはさっぱりとした使用感で初心者にも使用しやすいオイルです。

スキンケアコスメに混ぜて用いる

普段使用している乳液やクリームなどに1、2滴まぜて使用することで、保湿力を高め肌バリア機能を向上させることができます。脂性肌の方でクリームなどを使用しない場合でも、化粧水の後に1,2滴のオイルを加えるだけでも肌の保湿力が高まり、過剰な皮脂分泌を抑えることができます。扱いやすく美容効果の高いオイルを用いるようにしましょう。

混ぜて用いるのに適したオイル・・・ホホバ、ヘンプ、アルガン、ローズヒップ、スクワランなど。

 

その他、入浴後のボディーケアやヘアケアとして、洗い流さないトリートメントとして、ハンドやネイルケアとして用いる方法もオイル美容を取り入れやすい方法になります。

また、さらにオイルを活用するなら、肌がゴワついている場合に化粧水の前にブースター(導入)として取り入れることで、肌をほぐし浸透を高める効果があったり、バスタイムにオイルパックを行ったりと、肌質やケアシーンに合わせてオイルをいくつか揃えておくだけでも、様々な活用ができるのがオイルの魅力です。

 

オイル美容の考慮点

オイル美容を活用していくために、下記の点に注意しましょう。オイル選びや保存にも役立ちます。

品質を重視する

同じ名前のオイルで100%ピュアオイルであっても、様々な製品が販売されており、また価格も幅広く存在します。特に植物性オイルの場合、採種される植物の産地や収穫時期、オーガニックかどうかなどの栽培方法や圧搾方法などが品質に大きく影響し、それが価格に反映されているため、このような幅が生じるのです。

オイル美容としてフェイスケアに用いる場合には、品質の高いものを選びましょう。一般的には、オーガニック栽培の植物を用いて、酸化しにくい低温圧搾やコールドプレス製法で製造されているものが良質のオイルとなります。気になる場合には、メーカーのHPなどで製造方法もしっかり確認しましょう。

植物性オイルでもトラブルが発生しうる可能性を知っておく

100%天然植物オイルには化学物質は含まれていません。その点では安心できますし、「植物性」という響きは何とも肌に優しそうなイメージがありますが、誰の肌にも100%合うとは限らない点を知っておく必要があります。特定の植物にアレルギーがある方はもちろん、植物は身を守るための成分を有しており、それがかゆみなどのアレルギー反応として現れる事もあります。

また、製造工程において純度が高くなったオイルには、肌の浸透力を高める効果が高く、一緒に使用したコスメの化学物質の浸透力まで高まってしまったり、強く作用しすぎてトラブルとなる場合もあります。

このようなトラブルを避けるために、新しいオイルを使用する場合や、コスメと混ぜて使う場合には、見えない部分でパッチテストを行うようにします。このテストで異常を感じた場合には、使用をやめましょう。

保存方法・使用期限

オイルは適切に保存し、使用期限は守るようにします。これはオイルの特性上酸化が避けられないためです。酸化によるオイルの劣化は、肌トラブルの原因となります。そのため、質の高いオイルは色の濃いガラスを使用した遮光ガラスの瓶に入っています。

ホホバ・椿油・オリーブ・スクワラン・アルガン・マカダミア・スイートアーモンドオイルなどの酸化しにくいオイルは常温保存が可能です。ローズヒップ・グレープシード・馬油などは酸化しやすいオイルなので、基本的に冷蔵保存し2ヶ月以内で使いきるようにしましょう。また、瓶のふたをしっかり閉めるなど、可能な限り空気に触れない工夫も大切です。

日中使用するオイルは酸化しにくいものを

上記で説明した酸化しやすいオイルは、日光や空気、メイクなどの化学物質と触れやすい日中には使用しないようにします。このようなオイルは夜ケア専用にしましょう。