Lesson9-2 栄養素と肌との関係

① 高カロリー・高脂質な食事がもたらす肌への影響

Syda Productions/Shutterstock.com

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欧米の食文化は、私たちの食生活に大きな影響を与えてきました。また、便利なコンビニエンスストアやスーパーで販売されている弁当や惣菜は添加物を多く含み、ファストフードやジャンクフードでの高カロリー・高脂質の食事はエンプティーカロリーと言われ肌に必要な栄養素はほとんど摂取できません。そのような食事を摂取し続けると、肌にはどのようにして影響が出るのか見ていきましょう。

肌へと影響するメカニズム

  1. 高カロリー・高脂質な食事は、それらを分解するために内臓を酷使し酵素を大量に消費します。
  2. すると、当然内臓は疲弊し、機能が低下します。
  3. 酵素を大量に消費するため体内の酵素不足になり、分解・消化、血液や栄養素の運搬に支障をきたします。
  4. 内臓も酵素も機能低下により、正常な働きができないため、体内の吸収力が低下します。
  5. 内臓の吸収力が下がると、必要な栄養素までも吸収できなくなり、皮膚も栄養・血液不足になる可能性が高まります。
  6. 肌荒れなど様々な肌トラブルが発生します。

酵素の働き

上記メカニズムでも何度も登場している「酵素」とは、アミノ酸の一種で、生き物全てが生命維持活動をするために必要な物質です。指を動かしたり、呼吸器や心臓を動かすなどの意識的・無意識的な運動はもとより、細胞の入れ替えや老廃物の排泄、口から摂取した栄養素の利用のためにも酵素が必要となります。

体内で作り出される酵素は「体内酵素」といい、これは食べ物を消化するためのアミラーゼや胃酸などの「消化酵素」と、細胞の再生や老廃物の排泄などのを担う「代謝酵素」とに分けられます。

一日に利用できる体内酵素は一定であり、消化に負担がかかる物を食べて消化酵素を使用する割合が多くなると、細胞再生のための代謝酵素の割合が少なくなり、適切な細胞の再生ができずに老廃物が体内に蓄積します。デトックスが行われないことで腸内環境や細胞の環境が悪化し、新しい細胞を作り出せないためにターンオーバーが乱れたり、肌トラブルの原因となります。またその影響は肌だけではなく、老廃物の蓄積は肥満や不調、病気の原因ともなります。

美しい肌や健康的な体を維持する為には、消化酵素を無駄遣いせずに、効率的に代謝酵素を活用することが重要です。そのためにまず必要なのは、消化酵素を大量に必要とする消化に負担が大きいジャンクフードや高カロリー・高脂質の食事を控えることです。そして食物酵素をたっぷり含み消化がしやすい生の野菜や果物の割合を増やすことで、酵素を有効に活用できるようになります。

 

②ビタミン不足がもたらす肌への影響

ビタミンの役割

  • 各ビタミンは体の調整を行うためにあります。
  • ビタミンはそれぞれが協力し合いながら、効果を発揮します。

補酵素とも言われるビタミンには、様々な役割があり、不足すると体の構成や働きがスムーズに行われなくなります。それにより、肌の調子が悪くなりトラブルが起きやすくなります。

美肌に役立つビタミン

ビタミンA

ビタミンAは、βカロテンとも呼ばれます。皮膚や粘膜を丈夫にし肌の健康を保ちます。その他免疫力の維持や、細胞強化の役割も果たします。皮膚の乾燥は、このビタミンA不足が要因の可能性があります。

ビタミンAを多く含む食品

鶏・豚・牛のレバー/鰯・アナゴ・鰻などの魚類/ほうれん草、かぼちゃ、トマト、人参、ブロッコリー、などの緑黄色野菜

*ビタミンAは油溶性の性質を持ちます。油炒めにしたり、生で食べる場合はエクストラバージンオリーブオイルなどの上質なオイルをかけることで、体内への吸収効率がアップします。

ビタミンE

ビタミンEは、「若返りのビタミン」と言われるほど抗酸化作用が強く、近年注目を集めているビタミンです。血行促進効果により、新陳代謝も活発になります。ビタミンEが不足すると、血液循環が悪くなり肌の新陳代謝も乱れることとなります。結果、皮膚のツヤが悪くくすみがちになり、ターンオーバーが乱れシミなどの要因ともなります。

ビタミンEを多く含む食品

鰯、タイ、タラコ、ハマチなどの魚/落花生、アーモンドなどの種実類/ごま油、コーン油、ひまわり油などの植物油/ほうれん草、小松菜、カボチャなどの緑黄色野菜

*ビタミンAと同様に油溶性なので、油を使用する調理法や良質なオイルと一緒に摂取します。

ビタミンC

美白のビタミンとして有名なビタミンC。コラーゲン合成を促進し、メラニン色素の生成・増加を抑えシミやソバカスなどの色素沈着を防ぐ効果が期待できます。ビタミンCが不足することで、コラーゲン生成能力が低下すると、肌にハリやツヤがなくなり保湿力も低下します。また免疫力も低下し、風邪などの病気にかかりやすくなります。

ビタミンCを多く含む食品

アセロラ、オレンジ、イチゴ、キウイ、レモン、グレープフルーツなどの果実類/ジャガイモ、ピーマン、トマト、キャベツ、ニラ、カボチャ、ブロッコリー、大根などの野菜

*ビタミンCは水溶性で、一度に大量に摂取しても体内に蓄積しておくことができません。また熱に弱く加熱調理により失われてしまう事が多くあります。野菜や果物の切り口は水にさらさないようにし、スープなど溶け出した水分ごと食せる調理法にするなど工夫しましょう。また、生で食べられる野菜や果物は効率的にビタミンCを摂取できます。

ビタミンB群

肌荒れやニキビに効果を発揮するビタミンB群は全部で8種類で、ビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチンがあります。特に美肌効果が高いとされるのが、細胞再生や成長促進効果が期待できるビタミンB2と、健康な皮膚や髪の生成に不可欠で代謝を促進するB6です。ビタミンB群が不足すると、口内炎や皮膚炎、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなります。

ビタミンB群を多く含む食品

ここでは特に美肌効果が高いB2とB6の食品を覚えておきましょう。

ビタミンB2
牛乳、ヨーグルト、卵/鶏・豚・牛のレバー/大豆や納豆/鯵、鰯、秋刀魚など/牡蠣、アサリ、しじみなどの貝類/ほうれん草、小松菜などの野菜

ビタミンB6
牛肉、鶏肉/牛・鶏レバー/鰹、秋刀魚、鯖、鰯など/赤ピーマン、さつまいも、トマト、キュウリ、キャベツ、ほうれん草などの野菜/納豆、味噌、大豆など

*美肌効果が高いビタミンB群はサプリメントも数多く存在しますが、化学合成されたビタミンは自然界の物質ではないため、やはり食品からの摂取が望ましいでしょう。

 

③酵素不足がもたらす肌への影響

①でも少し説明しましたが、酵素は私たちが生きる上で欠かすことのできない物質です。

体内には13000以上もの種類があり、それぞれが独自の役割を持っています。種類も多い酵素ですが、体内酵素は一日に使用できる量が決まっており、その量は年齢とともに減少していきます。年齢を重ねていくにつれて消化に用いる酵素を節約し、代謝酵素に活用することがますます重要となります。

消化酵素を節約し、代謝酵素として酵素を働かせるためには、食事量自体を少なめにすることと、食物酵素を含む生食の割合を増やすことが大切です。食物酵素を多く含む食べ物は、食べ物の持つ酵素で分解・消化するので、消化酵素をほとんど必要とせず体内酵素を節約することができます。

しかし、食物酵素の多くは熱に弱く48度以上の加熱で変性してしまいます。そのため、新鮮な食材を生で食べることがポイントとなります。また、食物酵素はすりおろすとより活性化される性質を持ちます。

Brent Hofacker/Shutterstock.com

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下記にまとめた酵素の特性をしっかり把握し、美肌のための食事に活用していきましょう。

酵素の種類

消化酵素

食べたものを分解・消化する酵素。添加物や脂質、糖質などには大量の酵素が必要とされる。

代謝酵素

エネルギー源(タンパク質・糖質・脂質)のエネルギー変換時に使われる酵素。

食物酵素

生の野菜・果物・魚・肉に含まれる酵素。

*①②は体内酵素、③は食物に含まれる酵素です。

酵素の機能

  • 体内に入ってきたものの分解・消化
  • エネルギーの代謝サポート
  • 臓器の修復
  • 老廃物の排出

肌への酵素の効果

  • 免疫力向上により、バリア機能の強化、アレルギー症状の改善。
  • 細胞の代謝を活性化させるので、ターンオーバーが整う。
  • ニキビ、シミ、シワ、たるみ、くすみ、かぶれ、アレルギー症状改善に効果的。