Lesson11-2 活性酸素と酸化

りんごと酸化

Robert Neumann/Shutterstock.com

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1度は体験したことがあるかと思われますが、りんごを切って数分もすると切り口が変色していきます。これは、りんごの断面が酸素に触れて酸化したために起こる現象です。表面を変色させることでりんご自身を守っています。

変色させないためには、りんごの切り口にレモン果汁をかければ良いというのは多くの方がご存知でしょう。これはレモンに含まれるビタミンCがりんごの代わりに酸化し、りんごの酸化防止剤となったためです。

人間の体や細胞もりんごと同じように酸化が起こり、その酸化が老化の原因となります。酸化のメカニズムには様々な要因がありますが、活性酸素といわれる酸素もその原因の1つです。活性酸素は、呼吸することで取り込まれた酸素がエネルギーとして変換されるときに発生する酸素の一部で、約2%ほどが活性酸素に変わります。

 

活性酸素がもたらす悪影響

活性酸素は、通常体内に入ってきたウイルスや有害なものを殺し、体を守るために私たちの体内に存在しています。しかし、乱れた生活習慣や偏った食事、過剰なストレスや紫外線などの要因により過剰に活性酸素が発生すると、体内の細胞を手当たり次第傷つけ、細胞が正常に機能できなくなります。これは、鉄が酸素により浸食されて錆び、鉄としての強度や役割が果たせなくなる事に例えて、体や細胞が「錆びる」とも表現されます。

また、活性酸素は皮脂を酸化させ過酸化脂質をつくり、真皮層を破壊します。その結果、シミやシワといった肌老化のトラブルが生じます。活性酸素は肌を錆びつかせ、細胞の老化を引き起こすアンチエイジングの敵と言える存在です。

活性酸素の原因

活性酸素は、原因物質などを体が対処した際に発生する副産物です。発生の要因となるものの影響を受けると、それを解毒・分解する過程において活性酸素が発生してしまいます。紫外線対策をはじめ、食事改善や、パソコン・スマートフォンなどの電子機器から離れる時間をつくることも大切です。

活性酸素発生の要因となるもの

  • 紫外線
  • パソコン
  • スマートフォンなどの電子機器の電磁波
  • タバコ
  • 大気汚染物質
  • 食品添加物
  • アルコール
  • ストレス・・・など
過度なストレスはStokkete/Shutterstock.com

過度なストレスは活性酸素発生の一つの大きな要因となり得ます/Stokkete/Shutterstock.com

活性酸素の種類

スーパーオキシド

  • エネルギー代謝の過程、異物混入により大量に発生する。
  • SODで分解。

過酸化水素

  • スーパーオキシドの化学反応により発生する。
  • カタラーゼ、グルタチオンベルオキシダーゼで分解。

ヒドロキシルラジカル

  • 過酸化水素の化学反応により発生する。
  • スーパーオキシドの数十倍の力を持つ強力な活性酸素で、細胞膜や遺伝子にダメージを与えている。
  • 体内に分解できる酵素はなく、体の外から抗酸化物質を摂取し除去する必要がある。

一重項酸素

  • 放射能、紫外線により発生する。
  • 体の外から抗酸化物質を摂取し除去する必要がある。

 

活性酸素の除去方法

活性酸素への対処を担っているのが、私たちの体内に存在する、SOD(superoxide dismutase)やカタラーゼ、グルタチオンベルオキシダーゼという活性酸素を分解・除去する働きのある酵素であり、私たちは自分でこの酵素を生成することができます。

これらの酵素でも対処しきれない程活性酸素が多すぎる場合には、体内に摂取したビタミンA・C・Eやポリフェノールなどの抗酸化物質を用います。体内の抗酸化酵素は20歳をピークに働きが鈍り始めると言われており、20代以降は特に、日頃から積極的に抗酸化物質を摂取していく必要があります。

活性酸素と抗酸化

過剰に発生した活性酸素に対処するには、上記でも説明したように活性酸素を無毒化・除去する作用のある抗酸化物質の積極的な摂取が必要です。また、活性酸素を発生させないための対策も有効となります。
紫外線対策や食生活の改善、ストレス対策も合わせて行います。

抗酸化作用のある成分

抗酸化作用のある成分には様々なものがあり、今注目を集めているスーパーフードに含まれているファイトケミカルなどもその1つです。エイジングケアのスタートとして、これらの成分が配合されているスキンケアコスメを選んだり、食事の際もこれらの成分が豊富な食材を選んで積極的に摂取しましょう。

活性酸素を除去することで、外側からも内側から肌の老化を食い止めることが大切です。

抗酸化成分

コエンザイムQ10
コエンザイムQ10のユビキノンは抗酸化力が強く、細胞膜を過酸化脂質から守り肌老化を防止する。

フラーレン
ビタミンCの125倍もの抗酸化作用がある。プラセンタの800倍ものコラーゲン産生促進作用もある。ビタミンC誘導体APPSと一緒ならより効果的になる。

β-カロテン
赤色の色素。活性酸素除去を行う強力な抗酸化作用をもつ。

ビタミンC(アスコルビン酸)
万能ビタミン。活性酸素SOD、一重項酸素、ヒドロキシラジカルを分解・無毒化。細胞の代わりにビタミンCが代わりに酸化して細胞を守る。コラーゲン産生を促進する働きもある。安定力を高めたビタミンC誘導体や浸透力を高めたイソステリアルアスコルビン酸2Naやアスコルビン酸-2リン酸-6パルミチン酸といった成分も有効。

ビタミンE(醋酸トコフェノール)
脂溶性ビタミン。代謝によって発生する活性酸素から細胞を守り、脂質に対して特に強力な抗酸化作用を発揮する。ビタミンCと一緒ならより効果的になる。

プラセンタ
高い活性酸素除去作用を持つ抗酸化物質。同時にホルモンバランスを整える効果もあり、活性酸素を発生させない効果も期待できる。

ピクノジェノール
松の樹皮から採れるエキス。OPCと40種類のフラボノイドの集合体で強力な抗酸化作用を発揮する。同時にコラーゲン産生を促す効果やエラスチンの伸縮性を強化・キープし肌のハリ・弾力を支える。

アスタキサンチン
赤色の色素。ビタミンEの500〜1000倍もの抗酸化作用がある。活性酸素の中でもシワの原因となる一重項酸素を消去する力が特に優れている。

レスベラトロール
ターンオーバーのサポートや健やかな細胞をつくりだすサポートを行うポリフェノールの一種。肌の柔軟性・ハリ・弾力の維持や肌荒れを予防する効果もある。