Lesson11-3 糖化

酸化より肌老化を進めてしまう糖化の恐ろしさ

Valentina Razumova/Shutterstock.com

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終末糖化産物

終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)は一般的にAGEsと呼ばれている老化物質です。AGEsは一度でできてしまうと分解されにくく、肌の元となるたんぱく質と結びつき、体熱による反応により細胞を傷つけて焦げをつくる原因となる物質で、アンチエイジングにとって活性酸素よりも恐れられている「糖化」という老化原因のひとつです。

肌の真皮層の大半を占めるコラーゲンとエラスチンはたんぱく質の一つですが、過剰な糖質摂取により正常に代謝できなかった糖と結び、コラーゲン繊維の弾力が劣化・低下します。さらに、細胞そのものが傷つき衰えるため、ターンオーバーにも影響を及ぼします。代謝が悪くなりメラニン色素を含む細胞が蓄積されていきます。

糖化は、体全体に影響を及ぼしますが、特に肌にとってはくすみ・ハリ・弾力の低下・シミ・シワ・たるみを招き、見た目年齢を急激に引き上げる原因ともなります。また、糖化は抗酸化酵素の効果を弱めるはたらきをするため、活性酸素までも除去する力が弱くなり、より老化を加速させることとなります。

 

 糖化しないためにできること・食事

抗糖化対策の最も効果的なアプローチは食事の改善です。口から摂取する糖が原因なので、スキンケアだけではどうしても不十分な点があるため、食事や運動といった生活習慣そのものを見直すことが根本的な糖化予防につながります。

食事による抗糖化

①糖質の摂取量を控える

過剰な糖の摂取が糖化の原因となります。砂糖だけでなく、糖分を多量に含む炭水化物などの摂取も合わせて見直しましょう。

精製された炭水化物や白砂糖は血糖値を急激に上昇させ体は正常に代謝できなくなるために糖化が起こりやすくなります。未精製の穀物に変えたり、血糖値を上げにくい甘味料に変えるなどの工夫も有効です。また、加工品や清涼飲料水などは知らず知らずのうちに大量の糖を摂取しがちです。パッケージを確認し、原材料の初めに砂糖と書かれているものを選ばないようにすることから始めてみてください。

②食べる順番を工夫する

急激な血糖値の上昇がAGEs発生の原因となります。食べる物の選択も大切ですが、どのように食べるかも大切です。

食事をする時は、最初にサラダや食物繊維の多いものから摂取します。炭水化物を最後の方に食べると、同じ食事をとっても血糖値の上昇が緩やかになります。サラダ→みそ汁・野菜の副菜→メインの肉・魚・卵など→炭水化物や根菜などを食べる、という順番を意識してみましょう。

③空腹状態の直後に糖質の多いものを食べない

精製された糖質は食べ物のなかでも最も吸収されるのが早いと言われており、これは空腹状態においてさらに加速します。これにより血糖値は急上昇するため、空腹時間が長かったすぐあとの食事には気を遣いましょう。糖質を控えたり、食べる順番を工夫します。

また、その人の体質にもよりますが、低血糖気味の方は1日分の食事を3〜5回に分けてこまめに食べると、血糖値の急上昇・急降下を抑えることができます。

 

理想的な抗糖化メニューとは?

低炭水化物ダイエットなども流行しましたが、抗糖化メニューの考え方はこれに似ています。ただし、低炭水化物メニューは高タンパク質や高脂質になりがちで、これでは消化や腸に負担がかかってしまいます。

美腸づくりと美肌づくりの両方を考慮した抗糖化メニューは、 動物性たんぱく質の量を控えめにして植物性たんぱく質の量を増やし、抗酸化物質をたっぷり含んだ色の濃い野菜や果物と、良質のオイルを生で摂取するのがお勧めです。

Eric Urquhart/Shutterstock.com

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糖化しないためにできること・スキンケア

AGEsの種類は100を越えると言われており、一つの有効成分でアプローチするのではなく、複数の成分でAGEsの生成を抑制していく必要があります。

抗糖化へのアプローチは今研究段階であり、スキンケア製品はまだまだ少ないのが現状ですが、その中でもセイヨウオオバコ種子エキスやスターフルーツ葉エキスといった糖化に着目した有効成分を配合しているスキンケアコスメも発売されるようになり、スキンケアでも抗糖化ケアを行えるようになってきています。

糖化予防に効果的な成分

セイヨウオオバコ種子エキス
フラボノイドの一種プランタゴサイドが糖化抑制に有効。

スターフルーツ葉エキス
肌を柔軟にする効果、糖化抑制作用がある。

紫菊花エキス
AGEsを作らせない効果がある。

桜の花エキス
AGEsの産生を抑制する効果がある。

シャクヤクエキス
糖化による黄ばみに対して効果を発揮する。

ブドウ葉エキス
高ポリフェノールを含む抗酸化作用により糖化の促進を抑制する。

他にも、トウモロコシのひげ(トウモロコシ花桂エキス)、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンE、コラーゲン、ヒアルロン酸、カモミール、ドクダミ、クエン酸、バラエキス、オリーブの葉、ヨモギなどに強い抗糖化力が期待されています。