Lesson15-4 スキンケアアドバイスのための7つのポイント

スキンケアスペシャリストには、ヒヤリングと共に、クライエントの問題解決のための適切なアドバイス提供も必要となります。スキンケアアドバイスのために大切な要素はいくつもありますが、まずは7つのポイントを押さえましょう。

①その人の悩みだけでなく、生活習慣やスキンケア方法まで幅広く情報を集める

人にスキンケアアドバイスをする時は、自分の意見を押し付けるのではなく、客観的に見ることが大切です。アドバイスはその人が実践できるような内容でないと意味がありません。そのために、まずはその人がどんな悩みを抱えているのかだけでなく、普段の生活スタイルや食生活、今使っているコスメやどんな肌になりたいかなど、様々な内容を知る必要があります。

たとえばニキビに悩んでいる人の場合、それが過剰な皮脂の分泌による毛穴の詰まりなのか、乾燥による毛穴の塞がりなのかを判断しなければなりません。

判断するには、普段の生活や食事の栄養バランスなども聞いておく必要があり、安易にニキビケアのコスメを使うように勧めてはいけません。皮脂が多すぎるなら、皮脂コントロールをすべきであり、乾燥が原因なら余分な角質の除去や保湿を重点的にケアしていく必要があるからです。まずは原因を探るところから始めましょう。

Pressmaster/Shutterstock.com

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②改善方法を体の外側・内側から考える

原因がわかったら、次はどのように改善していくかを決めていきましょう。どのような生活習慣なのかによって、できるケアは違ってきます。改善には、外側からのスキンケア方法と同時に体の内側からのケアも行うことが大切です。(Lesson9を参照)両方からのアプローチにより、早期的・根本的な改善につながります。

スキンケアコスメを勧める場合は、肌改善に必要な成分を説明した上で価格帯が異なるものをいくつか提案するとよいでしょう。

③生活スタイルを把握する(食事、ストレス、睡眠)

肌トラブルの多くは、生活習慣や食生活の乱れ、ストレスなどが原因です。

人によって生活スタイルは異なるので、「必ず夜は10時に寝ましょう」というアドバイスでは意味がありません。寝る時間が遅い場合は時間帯に縛られず、睡眠による成長ホルモンは睡眠後3時間の間に多く分泌されることを伝え、その人がリラックスし深い睡眠を取れる方法を一緒に探すことが大切です。

また、外食ばかりが続く人に肌のためとは言え、いきなり自炊を勧めるのも難しいでしょう。外食やコンビニでも栄養が補給できるようなアドバイスを行ったり、食べる順番について説明し徐々に体・肌の変化を感じてもらいましょう

ストレスに関しても、抱え込みやすい人は抱え込みやすいものです。どうストレスを向き合っていいかわからないような時は、アロマオイルによる香りの効果や自律神経のバランスの取り方を教えてあげるなど、多角的な面からアドバイスを行い生活の習慣として取り入れることができるものを探しましょう。

④紫外線を浴びる量を聞く

紫外線は肌のダメージとなり一気にエイジングを加速させてしまいますが、紫外線対策は、面倒・ベタベタする・うっかり忘れるなどおろそかにされがちです。まずはどれくらい1日に紫外線を浴びるか、日中の行動をヒヤリングしてみます。

また、基本的に雨でも曇りでも紫外線は降り注いでいるため一年を通してUVケアは必要です。1日の生活の中にどれくらい塗り直す時間があるか、外出することが多いかによってオススメするUVケア方法は違ってくるでしょう。塗るだけでなく、食事やサプリメントでの摂取、抗酸化対策方法もアドバイスしましょう。

⑤基本のスキンケアに立ち戻ること

スキンケアの基本はどの肌であっても共通です。

「落とす」「潤す」「閉じ込める」、どうしてこの3つが重要なのかを説明してみましょう。あなたが実践していることなら説得力も増すでしょう。キレイな肌の構造や仕組みが伝わり理解できればクライエントのスキンケア意識も高まるはずです。

一度にたくさんのことを伝えても、全てを実践することは難しいものです。気をつけるポイントに絞って伝えましょう。落とす、潤す、閉じ込めるステップの方法を一通り説明したら、選び方や使用法のポイントをも忘れずにお伝えします。

この3ステップを、「どんな成分で」「どんなコスメを使うか」によって効果が多少変化しますが、肌は人それぞれ違っても基本的なスキンケア方法は変わりません。化粧品選びに迷っている場合は、特別なことをアドバイスするより、基本のシンプルなスキンケアに立ち戻ることを勧めてみてください。肌質に合わせた専門的は上級者向けの内容はそれ以降でも遅くはありません。

ORLIO/Shutterstock.com

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⑥不調サインを見つける

人によって、肌トラブルが起こりやすい時期もあります。季節の変わり目や生理前、強いストレスを感じた時など個人差はありますが、そのことを実感していても適切な予防ができていない場合がほとんどです。

スキンケアの基本は予防であること、予防していれば何か起きても早くトラブルが収まることを伝えましょう。自分の不調サインを見逃さず、予防していく方法をアドバイスしていきましょう。

 

⑦一度に効果を求めない

アドバイスした方もされた方も、短期間での効果を期待しがちです。

しかし、肌のターンオーバーは約1ヶ月ほどかかり、また乾燥肌の場合には改善にはより時間が必要になります。短期間での効果を期待しすぎず、長期的な目で様子を見るようにしましょう。アドバイスする立場として、効果が感じられるまでケアを続けるモチベーションを教えることも大切です。また、変化を敏感に感じ取り伝えてあげるようにしましょう。

診断方法にはカウンセリングや望診術、肌のチェックシートに基づき行いましょう。肌に関する基本的なこと(ターンオーバーや肌の構造など)や今起きている症状、その原因、改善方法などをわかりやすい言葉で症状を説明し、改善していくために必要なことを伝えましょう。