世界から『肌はキメが細かく、透明感があり美しい』と称される私たち日本人の肌。
実は同じ生物であっても、肌の色が異なる日本人と白人や黒人との間には、肌の構造にも違いがあります。その一つが肌のバリア機能を果たす角質層の構造です。日本人の角質層はラップ一枚の薄さ(0.02mm)ですが、その薄さは白人や黒人の3分の2ほどの厚みしかありません。つまり、バリア機能が低下しやすい肌になっています。マイナスに感じるかもしれませんが、肌全体が薄いわけではないのです。
調査によると、角質層を含む表皮の下にある真皮とさらにその下にある皮下組織は、白人と比較すると日本人の肌のほうが厚いということも分かってきました。真皮は皮膚の土台部分であるため、真皮層が厚いということは、シワやたるみといった症状が白人よりも発生しにくくなるのです。
色の白い人が多く住むヨーロッパなどは、日本よりも乾燥していたり、水も日本とは違い硬水なので、角質の厚みが増してしまう傾向にあります。硬水という水質に対応するため、あまり水を使わずにスキンケアできるよう拭き取り化粧水も誕生しました。拭き取り化粧水は、洗顔代わりになりすすぎが必要ないため、水を使わずに済みます。
また白人は、角質の厚みが増したからといって肌が保持する水分量が多いというわけではないため、ゴワついたり、乾燥したりといわゆるターンオーバーがやや遅めの肌タイプの方が多い傾向にあり、ピーリングが生まれたのもドイツやアメリカと言われています。
また、角質層の厚さだけでなく、皮脂分泌量にも違いがあります。日本人は皮脂分泌量が白人よりも20%多いことがわかっています。これらの違いには、環境が大きく影響しています。寒さが厳しく、乾燥しやすい環境は、肌のバリア機能を高めます。これにより角質層は厚みを増しますが、湿度の高い日本は皮脂線の発達が白人よりも活発で、寒さも厳しくないため角質層の厚みも白人と比較すると薄くて十分ということです。また、皮脂線がある真皮においても、皮脂線が活発になっている日本人は、白人よりも厚みがあります。
どちらの肌質が良いかは一概には言えませんが、肌の色の違いや環境によってこんなにも違いが生まれるのです。