Lesson3-4 肌トラブル・シミ

シミとは、顔にできる淡褐色たんかっしょく暗褐色あんかっちょく色素斑しきそはんを指し、メラニン色素が肌に蓄積し残ってしまった状態です。メラニン色素が生成される原因の大部分を占めるのが紫外線であり、シミはこれに合わせてホルモンの影響が原因とされます。

シミの原因

紫外線
紫外線を浴びることでメラニンを生成するよう命令が出されます。日光に当たる時間が長いほどシミになる可能性が高まり、夏の海水浴など強い紫外線を受けることは、シミが増える大きな要因となります。

外部からの刺激
マッサージや摩擦など、皮膚に強すぎる刺激や摩擦が加わると、シミになる可能性があります。

ストレス
精神面からの影響がシミの要因になるという事実はまだあまり知られていませんが、シミが出来やすい人は精神的な悩みやストレスを抱えている場合が多いのです。これは、ストレスが脳下垂体のうかすいたいを刺激することで、メラノサイト刺激ホルモンを分泌するためだとされています。

合成化粧品
化学物質など、皮膚にとっての異物はシミの原因となります。スキンケアコスメやメイクアップコスメの原料が原因となる事もあります。

ホルモンバランスの乱れ
妊娠や出産などによりホルモンバランスが大きく乱れると、シミが出来る場合があります。妊娠1〜2ヶ月目にシミが目立つ様になる症状を妊娠性肝斑にんしんせいかんぱんと言いますが、これは出産後2〜3ヶ月ほどで自然に消えます。
また更年期によるホルモンバランスの乱れもシミの要因となります。加齢により内蔵器官の機能が低下すると、日光に対する反応が過敏になりシミが出来やすくなります。

ターンオーバーの乱れ
肌のターンオーバーが正常であれば、メラニンを含む古い細胞は剥がれ落ちていきます。しかし、何らかの原因によりターンオーバーが遅くなり、細胞の入れ替わりがスムーズに行われないと、メラニン色素を持つ細胞がいつまでも皮膚に残ります。その結果、皮膚の表面にシミとなって現れるのです。

これらの要因によりできたシミは、日頃からケアをしていれば徐々に薄くしていくことができます。なお、シミに対抗するためのスキンケアコスメの成分などは、Lesson5-4で詳しく学習します。

一方で、紫外線対策が不十分であったり、美白ケアを行っていない場合、またターンオーバーの乱れやストレスが続く場合、どんどん新しいメラニン色素を含む細胞が蓄積されたり色が濃くなったりし、セルフケアでは対処できなくなってしまいます

シミタイプ

一言でシミと言っても、複数のタイプがあります。それぞれのタイプに合わせて症状と改善方法を見ていきましょう。

老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)

wk1003mike/Shutterstock.com

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【症状】

  • ほとんどのシミはこの老人性色素斑タイプ。
  • 頬骨の高いところにできやすい。
  • はじめは薄い茶色いシミが段々と濃くなり、ぼんやりとした輪郭がはっきりとしてくる。

【原因】

このタイプのシミは紫外線によるものがほとんどである。

【対策】

初期段階での美白化粧品の使用は有効です。予防するタイプのものよりも漂白型と呼ばれるハイドロキノンやアルブチン、コウジ酸といった漂白成分が配合されたものを選びましょう。濃くなると化粧品でのシミ対策だけでは効果が期待できず、治療のためには専門機関でのレーザー治療が必要となってきます。

ソバカス(雀卵斑(じゃくらんはん))

Aleshyn_Andrei/Shutterstock.com

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【症状】

  • 小さな三角形をした茶色のシミが鼻を中心に両目の下あたりまで広がっている。
  • 3歳頃から現れる事が多く、思春期に目立つようになるが次第に減少していく。
  • 白人に多く出る症状であり、日本人でも色白の方に多い。

【原因】

遺伝によるものがほとんど。

【対策】

遺伝による要因が大きいため、美白化粧水の効果はあまり期待できません。レーザー治療で消しても、紫外線対策をしていない場合などは再びできてしまうこともあります。しかし、思春期を過ぎると自然となくなって行く場合が多く、白人の方々はソバカスをチャームポイントとして気に入っている方も多くいらっしゃいます。

炎症性色素沈着(えんしょうせいしきそちんちゃく)

【症状】

  • 赤や黒色で顔の様々な場所に起こるが、ニキビができやすい頬やあごにできやすい。
  • 時間が経過することで消えることも多い。

【原因】

  • ニキビの炎症による色素沈着。
  • 虫さされ跡。
  • 毛抜きによる毛穴まわりの黒ずみ。

【対策】

肌のターンオーバーを促すことで色素沈着は薄くなっていきます。そのため美白化粧品や角質ケアのピーリングを取り入れるのが有効です。炎症性色素沈着がある部分に紫外線が当たったり刺激が加わると、治りが遅くなる事もあります。

肝斑(かんぱん)

cunaplus/Shutterstock.com

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【症状】

  • 左右対称のシミが頬骨あたりにできる。
  • しばしば鼻の下や額にもできる。
  • 茶色や灰色をしている。

【原因】

  • ホルモンバランスの崩れによるもの。
  • 妊娠中やピルの服用、更年期に発生しやすい。

【対策】

美白化粧品でのケアが有効です。また、ピーリングや肝斑用の飲み薬で体の内側からのケアも効果が期待できます。

その他、海などで急激に日焼けした後に肩から背中にかけてできる「花弁状色素斑かべんじょうしきそはん」や、シミがイボのように盛り上がった「脂漏性角化症しろうせいかくかしょう」、主に化粧品のタール色素により色素沈着が要因と考えられている「女子顔面黒皮症じょしがんめんこくひしょう」、ベルガモット油のアロマオイルと紫外線の反応により色素沈着である「ベルロック皮膚炎」なども、シミの種類に含まれます。

この8つのシミの種類は覚えておきましょう。